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俺は魔物を殺す仕事をしている。
稼ぎがいいからとか、平和のためとか、そんな理由ではない。
俺が小さい頃に父さんは病で亡くなり、母さんは女手一つで俺を育ててくれた。
「お父さんの分も頑張らないとね」
父さんがいなくなって、本当は寂しくて辛いはずなのに。
母さんはいつも笑顔で、太陽に負けないぐらい眩しかった。
時々、目が赤くなっていることがあったが、大人になった今なら分かる。
俺が見てない所で泣いていたんだと思う。
ある日、魔物が村を襲ってきた。
運悪く魔物の近くにいた俺は、逃げようとしたが転んでしまう。
魔物が近づいてきて、もう駄目だと死を覚悟したとき、母さんが俺を庇って魔物の攻撃を受けた。
血塗れで動かなくなった母さんの姿は、何年経っても忘れることが出来ない。
母さんが殺されて、心にあいてしまった穴を埋めるために、俺は魔物を殺す日々を送っていた。
今まで沢山の魔物を殺してきたが、まだ穴は埋まらない。
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