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 ぎゃーっ、どうしよう! 俺、秋田に電話したかったのに! すっかり忘れてたぁ!  どうしよう。どうしたら……。 「ん、できた。もう動いてもいいぞ」 「あ……サンキュっ」  背後で浴衣の帯を締めてくれてた土岐の許可の声にすぐさま振り向いて礼を言ったけど、頭の中は大混乱。  ああぁ、どぉーしよぉ! もう、浴衣着ちまったよ。  それに、ナニコレ、びっくり。珍しく、土岐が口元をほころばせてる。 「浴衣、良く似合ってるぞ」  綿菓子みたいにふわぁって笑って、髪を優しく梳いてくれてるんだ。  テンプレの無表情、どこ行ったよ! 両手をグルグル振り回してジャンプしてツッコミ入れたいくらい、ふわふわ甘い。嬉しくて堪んない。  けど、今はそれに浸ってる場合じゃねぇ。  浴衣の着付けが終わったから、もうビーチに行かなくちゃ。花火会場はすぐ隣の海水浴場だから、ビーチの休憩所のデッキソファーから眺めようって言われてる。  土岐が浴衣に着替え終わるまでに秋田に電話しなくちゃ。 「ととっ、土岐! 俺さ、下のキッチンに忘れ物しちまったから取りに行ってくるよ。そんで、そのまま外で待ってるから! お前はゆっくり着替えてから来てくれよなっ。じゃっ!」  言い終わる前に、部屋のドアを開けて廊下に飛び出していた。  土岐は器用で手際がいいから、すぐに着替えて一階におりてくるに決まってる。俺の電話もパパっと短時間で終わる用件だけど、ほんの少しの間も惜しい。  急げ、俺! 『恋の予言者様』にお尋ねするんだ! 「——秋田ーっ、助けて!」
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