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「——さて?」 「うっ」  重い。重いよ。ナニ? 土岐の、この圧力。たったひと言、短く低く声を発しただけなのに、この、ペチャンコに押しつぶされそうなプレッシャーはどこから来るんだよ。  ゲストルームに戻り、ドアが閉まる音を聞いた時にはもう、俺はソファーに座らされていた。  強引な恋人は俺の正面に立ち、腕組みして見おろしてきている。能面のような無表情からは、氷の視線が鋭く突き刺さってくるのみ。  あー、これ、アレだ。洗いざらい喋らねぇと許してもらえねぇパターンだわ。 「話せ」 「うん」  だから、素直に頷いた。できたら土岐には内緒にしたまんまにしたかったけど、仕方ねぇ。花火大会がお預けになるほうが、俺にとっては困る。だって、そのための内緒の相談だったんだもん。 「え、えーと……あの、土岐?」  正直に話すって決めたものの、なんとなく堂々と見上げるのは気が引けて。少しの上目遣いで、そっと話しかけることにした。 「なんだ」  真下から見上げると、腕組みした手首から二の腕のラインが、すげぇたくましい。  身体つきは細身な土岐なのに、と。その筋肉が描く流麗な稜線を目で辿って、ついキュンとしちまいながらも思い切って尋ねる。  ああぁ、ドキドキするーっ。 「梅ジャムサイダーと、梅はちみつレモネード。今、どっちが飲みたい?」 「……は?」
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