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 俺的には、ビーチの休憩所でも、この別荘でも、どっちのキッチンでもドリンクを作るのには大差はないし。土岐が「ここで二杯めも飲みたいしな」って言ったから、ウキウキで了解だ。  で、俺たちは今、ゲストルームのバルコニーにクッションを敷いて並んで座ってる。  バルコニーっつっても、かなり広い。そもそも、ピアノまで置いてあるゲストルームだし。  木製のローチェアも置いてあるんだけど、赤ちゃん連れの来客でも安心できるよう、バルコニーの床面にはクッションパネルが敷きつめられてるから、俺たちは床にじかに座ることにしたんだ。  オーシャンビューだし、ビーチに出なくても絶好のビューポイントだ。 「武田?」 「へっ? 何?」  花火の打ち上げは、十分後。開始が待ちきれなくて時刻を確認した直後、隣から呼びかけられた。 「お前、さっき、俺のために何かしたい。自分は何も返せていないから、と言っていたが。それは間違ってるぞ」 「え?」 「お前こそが、俺にいろんなものを与えてくれてるんだ。俺は、お前となら何をしてても楽しい」 「土岐……」 「だから、例え俺とのことでも、秋田にばかり相談するな。アイツが頼りになるヤツだってことはわかってるが、俺のことなら俺に聞け」  静かで、ひそやかな口調。けれど、とても熱い言葉。それが、真剣な表情で見つめてくる相手から放たれた。
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