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 潮風がさらさらとその髪を揺らしている濃茶色の髪の持ち主からの、真っ直ぐな要求。  えーとさ。これって……たぶんアレ、だよな? 「土岐? 今のってさ。俺、もしかして、お前に気分悪い思いをさせてたってこと、かな?」  ストレートに『ヤキモチですか?』とは、さすがに聞けない。でも、ちゃんと確認しとかねぇとって思った。  いくらサプライズのためって言っても、そのせいで土岐が嫌な思いしてたなら謝らないといけねーもん。本末転倒じゃん。 「相談するくらいなら、いい。が、俺の知らないうちに誰かが家に泊まりに来たり、お前が泊まったりとかいうのは、今後は無しにしてくれ。でないと、さっきみたいに誤解して我を忘れることもあるからな」 「あ……うん。ごめん」  さっきみたいに、か……。  土岐が口にしたその言葉で、俺のスマホを取り上げて秒速で電源オフまでやってのけた姿が、まざまざと思い出された。  土岐ってば、あん時、『我を忘れて』たんか。全然、わかんなかった。すげぇ冷静な無表情にしか見えなかったけどなー。実は、冷静さなんて欠片もなかったん?  えへへっ。なんか、むず痒い。  初めて聞かせてくれた本音に、口元がムズムズと緩んでいく。  同時に、甘酸っぱくてあったかいものが、胸の奥にぽうっと灯った。
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