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下で待ってるからって言い残して俺が部屋を飛び出した後、下駄を持ってなかったことに土岐が気づいてくれて。階段を駆けおりる俺に声をかけようとしたら、俺が秋田の名前を呼んだとこだったらしい。
んで、そのまんまキッチンまで追いかけてきたから、土岐は半裸姿だったんだ。
「あのさ、土岐? 色々、嫌な思いさせちまったこと、ほんとごめん。俺、お前のことがすっげぇ好きだからさ。逆にわかんねぇんだよ」
謝らなくちゃ。謝って、説明しなくちゃ。
「俺の『好き』とお前がくれる『好き』には差があるって、ずっと思ってたからさ。何でも完璧なお前に飽きられないように頑張らなくちゃって、それしか考えてなかったからさ」
俺が秋田にこっそり電話してるってだけで着替えを放り出して追いかけてきてくれるほど、お前が俺のことを想ってくれてるなんて。そんなこと、夢にも思ってなかったんだよ。
おまけに、俺となら『何をしてても楽しい』なんて嬉しい言葉まで聞かせてもらえて、俺、どうしようっ。無表情仮面の下でウキウキしてくれてたとか、激萌えだぜっ!
「俺ら、なんつってもマイノリティな男同士の恋人なわけだしさ。唯一、お前のことを相談できる秋田に。俺の『恋の予言者様』に頼るしかなかったんだよ。ほんと、ごめんな?」
だから、もう秘密にするのはやめる。
予言者様への相談は、これからはフルオープン。秘密なしのスッケスケだ。
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