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6
俺は彼女の『ねぇ、覚えてる?』で身体が凍りついてしまった。
ようやく我に返って扉を閉めようとしたが、荷物のバッグを扉に挟んだ。そして女性は俺にもたれかかってきた。
「ねぇ、覚えてる?20年ぶりだね。」
「20年…??俺はその時まだ小学生の高学年じゃ!」
「そうよ、あなたが私と未来を誓ってくれたじゃない?忘れたの?拇印まで玄関に残したのに…。」
俺の前には一枚の紙が突きつけられた。
クシャクシャになった紙。
そこには『婚約誓約書』と書かれた紙だ。
日付も名前も両親の名前もお互いの拇印までされている。
「…これは…?」
「ねぇ、覚えてる?私と将来を誓ってくれたでしょ?」
そこに書かれていた相手の名前。横田花の名前を見て記憶の僅かな断片が蘇った。
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