ep1

3/18
前へ
/18ページ
次へ
 ですよね、東條(とうじょう)さん。社会の大きな闇を暴くって感じになっていきそうじゃないっすか?」  東條は佐伯の無垢に輝く顔を一瞥。憂鬱そうな目によく似合う動きで、化粧品が散らかるデスクに乗ったつま先をゆらゆらさせた。 「おっきな闇ねぇ……一人二人ならまだしも社会の闇って、そりゃあ奈落の様なものよ?  大志抱くのは構わないけど、そんな深い闇を果たして私たちだけで照らすことが出来るかしら。それどころか、飲まれて消えちゃうかもしれない。  そうなれば真っ先に危ないのは佐伯。あんたみたいなタイプ。そこがお姉さんはしーんぱい」  わざとらしい顔で不安を見せる東條に、佐伯はガクリと肩を落とす。 「ちょ、やめてくださいよ。俺が危なっかしいみたいな言い方じゃないっすか」  これに失笑した東條のバディ、配属四年目となる鵜ノ沢(うのさわ)は、席を立つとムスッとした佐伯の背後へ。その落胆を見せた肩を一叩き。 「そうだぞ美晴(みはる)。ま、たしかにこいつぁ危なっかしいが、念動力の持ち主だ。そう簡単にゃお陀仏しないだろ。鮎ケ瀬もいるわけだしな?」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加