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ですよね、東條さん。社会の大きな闇を暴くって感じになっていきそうじゃないっすか?」
東條は佐伯の無垢に輝く顔を一瞥。憂鬱そうな目によく似合う動きで、化粧品が散らかるデスクに乗ったつま先をゆらゆらさせた。
「おっきな闇ねぇ……一人二人ならまだしも社会の闇って、そりゃあ奈落の様なものよ?
大志抱くのは構わないけど、そんな深い闇を果たして私たちだけで照らすことが出来るかしら。それどころか、飲まれて消えちゃうかもしれない。
そうなれば真っ先に危ないのは佐伯。あんたみたいなタイプ。そこがお姉さんはしーんぱい」
わざとらしい顔で不安を見せる東條に、佐伯はガクリと肩を落とす。
「ちょ、やめてくださいよ。俺が危なっかしいみたいな言い方じゃないっすか」
これに失笑した東條のバディ、配属四年目となる鵜ノ沢は、席を立つとムスッとした佐伯の背後へ。その落胆を見せた肩を一叩き。
「そうだぞ美晴。ま、たしかにこいつぁ危なっかしいが、念動力の持ち主だ。そう簡単にゃお陀仏しないだろ。鮎ケ瀬もいるわけだしな?」
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