光あれ

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虚弱な聡を育てるのは手がかかった。病院に駆け込むこともよくあったし、入院しなくてはならないこともあった。普段、症状が落ち着いているときにも、運動療法や食事療法が必要だった。知的には問題はなかったのだが、度々学校を休むので、その遅れを取り戻すために家で教えてやらねばならない。 祥子がどんなに疲れていても夫の大輝が手伝ってくれることはなかった。 義父母から、友人が経営する病院が預かってくれるから、そこに聡を入院させるようにとしつこく迫られた。療育と称して預けっぱなしにせよということだ。 「そうしないとほかの家族の世話がおろそかになってしまうじゃないの」というのが義母の言い分だった。大輝も同じ考えだった。 祥子には、それだけはどうしても受け入れられなかった。「聡は私の子どもです。私の手元で私が育てます」 大輝は不服なようだったが、こればかりは譲れなかった。
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