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こうして地下道を歩いていても、聡は疲れるらしく肩で息をしていたが、今日は荷物が多すぎて負ぶってやることができない。
「もうちょっとだから頑張ってね」と励ましながらゆっくりと歩き続けた。ビルの入り口のガラス扉にその姿が映っていた。
『まるでホームレスみたい』と思った。
そしてすぐに『ああ、みたい、なんじゃなくて本当にホームレスなのだわ』と打ち消し苦笑した。
祥子には家はあったが、帰ることができる家はなかったのだから。
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