光あれ

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大学を卒業して大輝は一流商社に勤め、祥子も大きな食品メーカーで働き、結婚したのは2人が26歳の時だった。 それから12年の月日が流れた。 いまは郊外の一軒家に住んでいる。順調なことばかりでなく、もちろん色んな事があった。 お坊ちゃん育ちの大輝は金遣いが荒かった。給料は少なくはなかったはずだが祥子に渡される金額は多くなかった。祥子が働いていたときの蓄えで家計を補うことも度々だった。 浮気をしたことも何度もあったようだ。 けれど祥子の心が揺らぐことはなかった。 いま辛くても、いま苦しくても、今を乗り越えれば、きっとより素敵な2人に成長できる。そう信じていた。 大輝と祥子は運命的なカップルなのだから、と。 大輝には祥子しかいないし、祥子には大輝しかいないのだから、と。
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