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3年前、大輝は家を出てしまった。家には時々帰ってくる程度になった。
帰ってくると、別れてくれと祥子に迫るようになった。
それまでの浮気とは違うようだ。
祥子が何も気づかないわけではなかった。が、特に理由を問いただすようなことはしなかった。
別れるつもりであれば、相手の落ち度を調べ上げれば慰謝料などを請求できるかもしれないが、別れたいとは思っていなかった。いや、むしろ決して別れるまいと思っていた。
いまは熱病にとりつかれているようなものだろう。熱が冷めれば、また元の鞘(さや)に収まるのだ。
そのうちきっと元に戻る、そう信じていた。
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