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突然部屋の明かりが消え優香と莉奈の叫び声が聞こえた。
といっても、男女4人で机を囲み鍋パをしていたので至近距離で聞こえ驚きと同時に耳が少し痛くなる。
「誰か明かり!明かり!」
「暗すぎマジなんも見えないんだけど。」
「マジビビったわーライトどこ?」
そんな声が聞こえたが暗すぎて誰も動けない。すると翔真が、
「いや、今なら闇鍋できる絶好のチャンスじゃん?」
と言い出した。
「でもこれ普通の鍋だよ?」
と莉奈。すると翔真が、
「実は後でやろうと思って材料買ってあるんだ。ま、ちょうど停電したし今が絶好のタイミングじゃね?」
と。
翔真、なんてもの用意してるんだ。シンプルにそう思った。
「具材はもちろん秘密な!やるだろ?」
皆反対するかと思いきや乗り気だった。続けて翔真が
「でもさ、ただの闇鍋じゃもうなんていうか、オワコン化じゃん。だから特別ルールで、食べる前に真実か挑戦かっていうゲームもやらね?どうよくね?」
「えー王様ゲームは?」
莉奈が聞くと、
「いいじゃん!真実か挑戦か!ね!」
という感じの翔真。
どっちでもよかったのかそれにも皆賛成した。
「誰からやるー?」
莉奈が聞くと優香が
「じゃあ私が先ね」
と言ってオリジナル版闇鍋が始まる。
「それじゃあ真実か挑戦か?」
翔真が聞くと
「んー、真実」
と優香が答えた。
「よし、最近買った高額なものは?」
「もちろん、ナイトプリンスのセットグッズよ」
優香らしい解答だなと思った。
「好きだよなーアイドル」
そう思ったままを言うと
「いいじゃんかっこよくて。さーて鍋は何が出るかなー?」
簡単に返され、優香が鍋を探る。
「いただきます。ん?...柔らかい」
特に問題なく食べる優香。
「あーかにかまかな?それともグミだっけ?」
翔真が『うーーん』と悩んでいるような声。
「多分グミね」
優香はそう言った。
僕は、何が入ってるかわからないのによく食べれるなと思った。
「じゃ次あんたの番」
「えっ?」
「真実か挑戦か」
時計回りだと思っていたが急に順番が回ってきた。
「はやくしなよ」
優香は相変わらず隙がないような冷たいような感じだ。
「さぁー賢人君はどっちを選ぶんだい?」
暗くてよく見えないがお玉をマイクに見立てている翔真が想像できた。
「真実」
ここで挑戦を選ぶとどんなものが来るかわからないので、優しめであると信じての選択。
「ほーう、では最近キスした相手は?」
「?!」
翔真、秒で裏切ってきやがった。なんて思いながら最近の事を振り返ってみる。
「..お前としたのが1番新しいな」
「マジかよお前!あれ5年前くらいだぞ、流石に冗談だよな?!」
「悲しいがそれが現実だよ、てか痛い」
デカイ声を出しながら驚く翔真の持っていたお玉が右頬にきまった。
「ごめんごめん」
翔真に謝られながら、おそるおそる鍋を探る。
「ん、ちょっとだけ甘い。これは果物..か?」
「あー!パイナップルか!当たりらしいぞ!よかったなー賢人」
そう言われたが、今回はあまり当たりな気がしなかった。
「じゃ次俺な」
翔真が意気揚々としている。様な感じがした。
「真実か挑戦か?」
僕がそう聞くと
「挑戦!」
と元気な声で翔真が返した。
これは30秒前のお返しだ。
そう心の中で言いながら、
「お前の目の前の子とキス」
翔真の目の前に座っているのは優香。もちろん、2人が両思いなことを承知の上。それとさっきのお返しも含めて。
「わかった」
先に動いたのは優香だった。
「ほら早く」
「え..」
明らかに緊張している様な翔真。
見えはしないが、5秒程後に
「はい、したよ」
と優香が言った。
「ちょっとまって、そろそろブレーカー見てくる」
わかりやすい翔真。
「私もいく」
と優香と一緒に翔真はブレーカーをみに行った。
「翔真...」
莉奈の小さな声がした。
「それで...」
莉奈と二人きりになった。それに気づいたと同時に急に緊張した。
「私順番回ってこなかったね」
「ごめん」
「あの...!莉奈さん」
「何?」
「莉奈さん、僕と付き合ってくれませんか?」
「え?」
このタイミングで何をいってるんだと思ったが、今日伝えると決めていて今しかないとも思った。
急で驚いているだろうが、
「ありがとう、いいよわかった。付き合おう」
そう言ってくれた。
嬉しい!なんて思っていると部屋の明かりがついた。
そこには、少しばかり流れている涙を拭いている莉奈さんがいた。
その光景に驚いていると、二人が戻ってきた。
「私、先に帰るね」
莉奈さんがそう言った。後で電話するとか言えたらよかったけど、なにか言おうとする前に莉奈さんが帰った。
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