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僕は今日もまたこの場所に来た。
まだ彼女は来ていないようだ。
ベンチに腰を下ろすと急に後ろからワッと、声がして驚き飛び跳ねた。
「フフフフッ、守くん、驚かしてしまって、ごめんなさい。また今日も会いに来てくれて、ありがとう。嬉しいわ。」
「な~んか恥ずかしい所見られちゃったな。僕も遥香ちゃんに会えて嬉しいよ。今日こそは僕達が何処で出会ったのか教えてもらうからね。」
「フフフッ、守くんは、きっと自分で思い出してくれると信じてるわ。きっと大丈夫よ。でも、随分と時間が経ってしまって、守くんとは、やっと会えたのよ。この桜の木の下が私達の思い出の場所なの。」
僕は必死で考えた。
とても懐かしい、この場所で何があったのか、、
それから2人は色々な事を話した。
好きな色、好きな食べ物、趣味、、
僕は、またしても不思議な感覚に捕らわれた。なぜか彼女が話す前に答えが分かった。
何故なんだ、、彼女と僕は恋人同士だったのか?だとしたら、どうして記憶が無いんだろう。
僕は勇気を出し彼女に聞いた。
「あのさ、もしかして僕達、恋人同士だったの?」
「うん。」
「えっ、やっぱりそうなんだ!何で僕、記憶が無いのかな?」
「それは、守くんが自分で記憶を消してしまったの。だから私とても悲しかったし、寂しかったのよ。」
「えっ、どういう事?」
「きっと、もうすぐ思い出せると思うわ。」
僕は腕を組み目を瞑って考えた。
だが、まだ思い出せない。
僕は、しばらくすると目を開けて彼女に話しかけた。
「あのさ、、僕は何故自分、、あれっ」
そこに居るはずの彼女は、また消えていた。
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