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「ねぇ、覚えてる?」
そう話しかけてきた子は、満面の笑みで僕に問いかけた。
晴れた日に桜の木の下で僕はベンチに座る。
此処に来るのは何時ぶりだったか、、
とても久しぶりだ。
眩しく目を細めながら僕は彼女を見上げると、風になびく髪が、、
何だか、とても温かく懐かしいような、悲しいような、、
顔は見たことあるような、、
誰なのだろう、、
昔からある、この場所も、
彼女も懐かしく心地よく感じた。
彼女が隣に座るその時、風になびく彼女の髪の毛からフワッと良い香りがした。
懐かしくて、いい匂い、、
少しの時間ではあったが一瞬、時が止まったような、、
いや、時が戻ったのか、、
彼女は僕の顔の前に手のひらをかざし揺らした。
我に帰った僕は、
「ごめんごめん。君と何処で会ったんだっけ?」
彼女は一瞬、泣きそうな悲しい顔を見せた。
彼女は直ぐ様、
「私は水谷遥香(みずたにはるか)。宜しくね。」
「遥香ちゃんかぁ。僕は藤堂守(とうどうまもる)。宜しくね。」
「うん。知ってる。守くんと私は歳も一緒よ。」
「えっ、なんで僕の事を知ってるの?何処で会ったんだっけ?教えて?」
「内緒よ。あなたが思い出してくれるまで私、待つわ。だけど、、この桜の花びらが全て散るまでよ。だから、また明日もこの桜の木の下で会いましょう。」
その時、何か音がした様な気がして一瞬、視線を違う場所に向けた。
でも直ぐに隣の彼女を見ると彼女は消えていた。
「また明日もこの桜の木の下で会いましょう。」
その言葉が妙に耳に残って離れない。
誰なのだろう、、僕は記憶喪失にでもなってしまったかのように不思議な感覚、、
全く思い出せない、、
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