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「帰って来ないな。」
俺は、さっきトイレに行くと言われ見送った亜美ちゃんが、なかなか戻って来ないから諦めて立ち上がる。
会場に入った時に見つけた、周りとあまり話をしていない女の子に狙いを定め、声をかけて囲い込んだつもりだったのに、逃げられたようだ。
これだけ人がいると知らない人間がいても違和感はないらしい。
こういう時、男はスーツを着ていればいいのだから、楽なものだ。
同窓会が始まって最初の挨拶が終われば、途中退場やトイレに行く人間のためにドアは解放されているし、受付もいなくなるから簡単に潜り込めた。
佐藤なんて、どこにでもいる名前で声をかければ、簡単に誰かと勘違いしてくれる。
とりあえずワンナイト。
うまく行けば、こんな私立の高校に通っていたお嬢様に逆玉の輿を狙っていた。
かわいかった亜美ちゃん…
逃した魚は大きかったな。
二次会へ向かうグループを横目に見ながら俺はホテルを後にした。
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