妖怪を飼う

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 土曜日の十一時、妖怪はダンボールの中で仔猫に化けてターゲットを待っていた。妖怪の正体はぬらりひょんだ。昔は動物に化けるなど高等な妖術は使えなかったが今の能力は素晴らしく長けている。このぬらりひょん、普通と違って座敷童のように家に住み着く。座敷童と違うのは容姿だ。眉の長いお爺さんだし、ぬらりひょんは良い妖術なんて無縁だ。座敷童と真逆に悪さばかりする。  ぬらりひょんは気に入って住み着いていた家が取り壊されてしまうことになった。そこへ近代的なマンションが建つので仕方なく家を出た。マンションは住みづらい。出掛けるのもエレベーターというものを使わなければいけないらしいし、いちいち面倒だ。次は一軒家に住んでいる可愛い子を探して憑りつこうと画策を練っている。ダンボールの中でつま先立ちで外を見ながら鳴いていると、前方から美少女がやって来た。ぬらりひょんは「にゃあ、にゃあ」と鳴く。  百恵はこの新大久保を歩いていた。お目当ては韓国料理だ。チーズハットグを食べてみたかった。今は五月なので食べ歩きには良い時期だ。キンパも食べてみたい。百恵の心は弾む。歩いていると前方で捨てられた猫が鳴いていた。
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