妖怪を飼う

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 白に黒いぶちが入った仔猫、ちょっと痩せている。ダンボールには達筆な字で『誰か育ててください』と書いてある。こんなところに捨てるなんて常識外れだ。百恵は猫のわきの下を持って上にあげた。百恵の家は埼玉県の三郷市にあって二階建ての一軒家だ。飼ってもいい。お母さんがオーケーすればの話だけど。百恵は高校二年生だ。お父さんはいない。いや、いるが単身赴任で九州に住んでいる。もう五年経つ。一軒家はお父さんの単身赴任が決まる前に建てた。  そういうわけなのでお母さんさえ了承してくれれば問題はない。捨て猫はじっと百恵を見つめている。飼ってほしいんだろう。ここで無視するのも可哀そうだ。  猫を連れて帰るのに抱いて電車で帰るわけにもいかないだろう。キャリーバッグを買いにいかなければならない。新宿にペットショップがある。チーズハットグを食べたら新宿で買い物だ。百恵は猫をもとに戻し、人通りの多い通りを歩いた。  ぬらりひょんは拾ってもらえたと思ったのに女の子が行ってしまったので唖然とした。仕方なく次のターゲットを探す。グループやカップルが多い。皆んな珍しそうに見ていくが飼ってくれるという女の子は居ない。それにさっきの女の子ほど可愛くない。
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