妖怪を飼う

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 お母さんとぬらりひょんがやり取りをしている間、心配してもしょうがないので百恵は数学をやった。宿題を忘れると恥ずかしい。それにいい大学に行きたい。編集者で働くには有名な大学を卒業していたほうがいいだろう。そう思っているとまた部屋がノックされた。 「百恵、またゴメンね。ぬらりひょんの言う通りに捨ててあげるって嘘ついて、ぬらりひょんを猫に無理やり化けさせたよ。今度は茶虎のぶち。でも拾ってくれる親切な人を騙すようで嫌じゃない。だから池袋に行くと言って秩父のおばあちゃんちに連れてってくれない?悪さしないように妖術を封印してもらうの。それから捨てましょう」 「えー、今から電車で秩父?遠すぎじゃない」 「そうね、電車じゃかなり掛かるか。そしたらお母さんが車で乗っけて行く。車なら一時間半くらいで着くでしょう。百恵も見張り役でお願いね」  百恵は宿題の続きがしたかったが仕方ない。それに秩父には修行で行くわけじゃないし、おばあちゃんちの近くの蕎麦屋に行ける。秩父は蕎麦がとても美味しい。でもキャリーバッグの中とは言えぬらりひょんは電車じゃないことが分かるだろう。お母さんはなんて騙すつもりなのか。
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