第二章 戦死報道

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 「もしかして……その人間は、おまえの……」  最後まで言えなかった。妹が捕まった時のリーダーか、とは。  それでも金髪の男から説明を聞いたと話したから、ティグレには言いたい内容が分かったようだ。  「そうだ。あの子が捕まった時だ。  ……まだ三年なのか、もう三年にもなったと言うべきか……」  ティグレの()えない心の傷が垣間見える口調だった。  「とにかくベッドで寝ろ」  そう言うとティグレは毛布を出してきた。本当にソファか床で寝るつもりらしい。  「待て。おまえもベッドで寝ろ。そうしないなら、私も床で寝る」  言われたティグレは驚いたような表情になった。  「それは誘っているのか?」  彼女は全身が赤くなった。何も考えないで言ったからだ。そんな彼女を見てティグレが低く笑った。
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