第一章 銃撃戦

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 耳元を銃弾が(かす)める。衝撃で視界が揺れたがピアスは無事なようだ。恋人からの贈り物。彼女の身を守ってくれると言われて、常につけていた。  「ガト、大丈夫か?」  横から声がするが視線を向ける余裕もない。  「ああ、大丈夫だ。それよりも向こうの人数が増えていないか?」  尋ねると、不愉快な舌打ちの音が聞こえた。言ったとおりなのだろう。  「くそっ!あれだけ気をつけろと……」  言いながら、彼はライフルを構えて躊躇(ためら)いなく撃った。手応えがあったようで、満足げな笑みを浮かべているのが伝わってくる。彼女も散弾銃を、銃弾が飛んでくる方向に構えた。  横の彼と違って、実戦だと何度撃っても躊躇いが消えない。相手を倒すために銃を持っているはずだが、撃つたびに罪悪感が湧くのを止められない。  (テロリストに同情など……!)  自分に言い聞かせて引き金に指を掛ける。重い衝撃と反動が、彼女の細い身体を襲う。それでも彼女は、銃を構えて片膝をついたままの姿勢を変えなかった。
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