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もし捕らえられたら、良くて捕虜。彼女は女性だから、最悪だとテロリストの慰み者になる。
あんな男達に身体を蹂躙されると思うと震えが走り、躊躇いを消していく。
ここはテロリスト達の中心、本拠地だ。劣勢に立たされているのは、国軍の自分達なのだ。相手の攻撃を回避しながら突破口を探して脱出しないと、悪夢のような想像が現実になる。
「空いた!」
横から弾んだ声がした。攻撃を集中させたので、そこに隙間ができていた。
正規軍の自分達が逃亡する屈辱を感じるが、生きて脱出すれば報復の機会も訪れるだろう。
ほんの少しの油断で、まるで小動物を狩るように銃弾を受けた。この屈辱を忘れるなどできるわけがない。
(憶えていろ!)
心の中でテロリスト達を罵ると、彼女は横の男の後ろを走りだした。さらに、彼女の後ろには、若い兵士が守るようについてきている。
今回の作戦の指揮官は前を走る男性。彼女の恋人でもある。
作戦は途中まで順調だった。
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