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夜の帳が降りているのに、ティグレが部屋に戻る気配はない。
最高幹部の一人だ。会議や指示で多忙だろう。
あの若さで最高幹部……彼の能力の高さが分かる。
戦場でも相当な実力を発揮したのは聞いている。当時は、金瞳の悪魔と呼ばれていたそうだ。
ティグレというコードネームなのは、捕虜がうっかり漏らしたから知れたのだ。
政府軍も、すぐにその名で呼ぶようになった。畏怖を込めて……
今でも戦場に出ることができそうな見事な身体だった。指揮官としても有能というから、まさに戦うために生まれた男なのだろう。
皮肉な口調だったが、決して乱暴ではなかった彼が見せた激しい怒り。
決して消えない大きな心の傷を、彼女は引きずりだしたのだ。あの程度で済んだのは、怪我人という状況を忘れない程度には彼に理性が残っていたからだろう。
黄金色の髪の男に言われるまでもなく、事実を知ったのだから謝罪するのは当然だ。
知らなかったとはいえ、軽々しく口にしてはならない言葉なのも事実。
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