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「怪我人を相手にするつもりはない。とにかく早く寝ろ」
ティグレの言うことは分かっても、彼女は譲れなかった。
「自分だけベッドに寝るなどできるわけがない。
おまえが床で寝るなら、私も同じようにして当然だ」
強情なのは分かっているが、どうしても、自分だけベッドで休むことはできなかった。
少しの睨み合いは、ティグレが視線をそらしながら苦笑したことで途切れた。
「まったく強情な……毛を逆立てた猫には従うか……」
彼は笑ったまま、シャワー室へと向かった。
少しの後、水音がやみ、腰にタオルを巻いだだけのティグレが部屋に入ってきた。水滴が残る髪が灯りに輝いた。
ティグレはタオルをソファに掛けると、全裸のままでベッドに入った。
彼女は思わず視線をそらしたが、その姿は目に入っている。
恋人の裸は見ているが、比べられない。
筋肉が美しく備わっている身体は、それ自体が芸術品のようだった。
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