第二章 戦死報道

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 首の後ろで腕を組んでいるティグレは、明かりを消してから訊いてきた。  「シャワーはまだ無理なのか?」  頷いた後、暗がりで分からないと気づいた彼女は返事をした。  「ああ。右肩に水をつけては駄目だそうだ」  「そうか……それなら、明日、女をここに呼ぶ。  身体を()いてもらえ。多少は違うだろう」  聞いた彼女の声が弾んだ。  「いいのか?」  汗を(ぬぐ)えるなら本当に嬉しい。気持ち良くなることを想像すると思わず笑みが浮かんだ。  隣から苦笑の気配が伝わってくる。  だが、捕虜の女にそこまでする必要はないはず。思わないティグレの優しさに彼女は、おそるおそる訊いた。  「どうして、そんなに親切なのだ?」  少し沈黙が入った。  「……どうしてだろうな。怪我をした猫が可哀想だったのかもしれない」  怒るべきなのに、彼女はなんとなく心が温かくなった。
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