第二章 戦死報道

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 ***  翌日、本当に女が数人部屋を訪れた。  湯あみの準備をした後、右肩を避けながら湯で身体を()いたり流してくれた。  今まで我慢していたから生き返った気分だ。  だが女達は、感謝の言葉を告げる彼女を無視して出ていった。今度は少し傷ついた気分になった。  確かに捕虜だから無視されても仕方ないが、その程度の礼儀もないのかと思ってしまう。  ティグレが意外なほど優しかったから、勘違いしていたのかもしれない。  捕虜に対する態度など、このくらいで普通なのだろう。乱暴にされないだけいいのだと思うことにした。  しかし、身体の汗を流して新しい服に着替えると、気分が良くなったのは事実だ。  彼女は窓辺から外を見た。樹々の連なりが遠くを隠している。  この場所が、エアルド解放戦線の本拠地かどうかは分からない。
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