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「偵察かな?」
軽い声がした。
頻繁に捕虜に会いに来る、この男の正体がまったく分からない。
生い立ちを聞いたから、幹部の息子でないのだけは確かだ。まさか、と思うが、指導者の愛人だろうかと思ってしまう。
エアルド解放戦線の統率者の正体も、コードネーム以外まったく不明。
当然、男女どちらかも分からない。この男の外見なら、どちらでも愛人にして不思議ではない。
さすがに確認できる内容ではないが……
男の言葉を否定する。
「そんなことはしない」
仮にそうであっても否定するし、窓から見える景色で場所は分からない。
「へぇ、意外だな。もっと堅苦しい軍人と思ってたけどね。
ティグレが零してたよ。
猫が素直でないのは知ってたけど、思ったよりも動くとは知らなかったってさ」
思わず赤くなった。
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