第二章 戦死報道

17/38
前へ
/402ページ
次へ
 「だって、この子、可愛いじゃない。素直じゃないところもいいよね。  ……ティグレは真面目すぎなんだよ」  急に口調が変わって、彼女は金髪の男を真剣に見た。  「幸せになったっていいじゃないか……そう思わないか」  男がローボに問いを向けると、彼は頷いた。  「ええ、兄と同じ存在です。幸せになっていただきたいんですけど……」  二人がティグレを愛して幸せを願っていると分かる。  「でも、ティグレは猫を飼い続けるだろうな」  理由は分からないが、ティグレは彼女を離すつもりはない。なぜか安心してしまう心を彼女は抑えつけた。  「君、無視されてない?」  どうして知っているのだろうと思ったが、彼女は頷いた。彼女はティグレに言うつもりはないし、おそらく彼が知ることはない。  「あのね。ティグレって人望が厚いんだ。分かったと思うけど」  頷いた。彼が敬意を持たれているのは分かる。希望がすぐに叶うのだから。
/402ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加