第二章 戦死報道

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 「その彼を怒らせて傷つけた君に対して、反感を持ってる人間が多いってこと」  青ざめた。  言われた内容は事実だ。自分の感情のままに、知らずとも言ってはならない言葉を叫んだ。(うつむ)くしかない。  「だから、ティグレは君を自分の部屋に避難させたんだ。  そして、その首輪が多少反感を(やわ)らげてる。あんな姿にされていい気味だって。だから、そこまでひどい対応はされてないんだ。  ティグレは怒ったけど、君を他の者に任せる危険を察知したんだ。  その勘の良さが、彼の最大の武器ってこと」  屈辱感を生じさせた首輪だが、彼女を守るためだったとは……  彼の深謀(しんぼう)に思わない感情が湧いた。  (嬉しい……)  そんな感情が湧くことが信じられなかった。  恋人のことを忘れていないのに、たった一日でティグレが心に入り込んできた。  (親切だから、そう思うだけか?)  彼女には分からなかった。
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