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半月ほどの時間は短く、そして静かに流れた。
ティグレは彼女が毎日頼むので、やがて黙って隣で寝てくれるようになった。
決して近づくことはないが、彼が横で眠っていると思うだけで、彼女は安心した気持ちで休めた。
そうしているうちに彼女の怪我は無事に完治した。
自由に動いても身体が痛まない彼女が最初に行ったのは、シャワーを思いきり浴びること。
後で知ったティグレは笑いだして、彼女を赤くさせた。
捕虜という立場を忘れそうだった。恋人のことすらも。
この組織は政府軍よりもずっと正義を守っている。それを思うと、軍に戻っていいのだろうかと迷う気持ちが出てくる。
そして、このまま組織に残れば、ティグレと離れないでいられる。彼女は、自分の気持ちの変化を認めるしかなかった。
いつの間にかティグレに惹かれていると……
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