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エアルド共和国は、カリブ海と太平洋に挟まれた、それほど大きくない面積の国だ。
だが、共和国とは名ばかりで、実態は軍政を敷いた独裁国家だった。
資源は、銅鉱山にある程度の産出量があり、政府-将軍-の権力を支える財源となっている。
エアルドには、独裁国家にありがちな極端な貧富の差が存在する。
軍部を頂点に少数の特権階級と、大多数の貧困層。国民の不満は大きいが、軍事力を背景にした独裁、という現状を変えるのは容易ではない。
しかも軍政府は、国民を密告制度で分断する政策を取っていた。密告者には報奨金が与えられるのだ。大多数の人間が沈黙するのも当然だ。
だが、不満を持つ人間の中には、秘かに団結して軍政府に抵抗することを選ぶ者も存在した。
彼らは反乱者として激しい攻撃を受けたが、政府に不満を持つ国民には支持されて、秘かに援助を受ける組織もあった。
反政府組織の中での最大勢力は、自らをエアルド解放戦線と名乗り、辺境に勢力を広げつつあった。
国軍と互角の戦闘力を有する彼らを内部から崩壊させるために極秘作戦が計画され、若い武官が少人数を率い実行されることになった……
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