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「ティグレ。捕虜の様子を見に行くのか?俺も行く」
簡単に言う青年に、彼は溜息をつきながら振り返った。
この国では珍しい、短く切った金色の髪が、褐色の肌や緑色の瞳と相まって、輝いているように見える。
ティグレと呼ばれた青年は、無造作に切った黒髪と濃い黒茶の瞳を持っている。褐色の肌に覆われた、細いが鍛え抜かれた身体が服越しでも分かる。
鋭い光を放つ瞳は、普通の者なら震えあがるような強さを伴っていた。
「このような場所に一人で……護衛を連れろ」
素っ気なく言うティグレに金髪の青年が傷ついた表情を向けた。だが、それが演技だと知っている相手に通じるわけもない。
「本当に泣いているとしても反論は認めない」
「おまえ、口うるさい幹部達と同じだな。
ネズミ狩りは終わったんだから、少しの間は自由に歩かせろ。ぞろぞろ連れてたら……俺を狙えと言ってるようなものだぞ」
その言葉には理があると思ったようで、ティグレは沈黙した。
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