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「ねぇ、お母さん‥今日が何の日か覚えてる‥?」
「え~?何かあった~?」
お母さんは私の方を一切、見ずに化粧に専念している。
私にはお父さんさんはいない。
私が産まれる前にお母さんと別れて、何処にいるかも分からないらしい。
以来、お母さんは独りで私を育ててくれている。時々“彼氏”と名乗る男の人が家に来たけど、すぐにいなくなる。また暫くして別の”彼氏”が来る。でも、またすぐにいなくなる。
その度にお母さんは酔っ払って「もう、男なんて信用できない!」と口にする。そして必ず「私にはアンタだけよ」と私を抱きしめる。お酒の臭いは嫌いだけど、抱きしめられるのは好きだった。
いつも“夜の仕事”で忙しいお母さん。
昼間や休みの日は寝ていることが多いけど、毎年、私の誕生日だけはケーキを用意してくれる。
例え「おめでとう」の言葉がなくても、私の誕生日を覚えてくれてることが何よりも嬉しかったのに‥。
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