贈り物

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 想真が演奏を終えると、まわりから歓声と拍手が沸き起こった。 「えっ?」  驚いて想真がまわりを見回すと、たくさんの人が部屋や部屋の外に集まってきていた。戸惑う想真のそばに来た祖父母は微笑んでいた。 「おじいちゃんが入っていいと言ったんだ。勝手なことをしてすまない」 「でも、おばあちゃんたちが呼び込んだわけじゃない。この人たちは、みんな想真の演奏を聞いて家のまわりに来ていたんだよ」  顔を見合わせて微笑み話す祖父母の言葉に、想真は目を見開いていた。 「兄ちゃん、歌うまいね。テレビに出てるんかい」 「…ぼくのこと、知らないんですか?」  一人の男性が嬉しそうに言う言葉に、想真はとても驚いた。 「このあたりは、過疎地域でアイドルやテレビについては、あまりよく知らない人が多いんだ」 「そうなんだ…」 『そういう場所でお母さんは育ったんだ』と考える想真は、この場所がとても温かい雰囲気に感じて嬉しくなっていた。そして、なぜか、涙が止まらなくなっていた。 「お兄ちゃん、泣いてるの?明るい歌を歌うと元気になれるよ!今度は、わたしも歌いたいな」  うつむく想真のそばに、一人の少女が駆け寄ってきた。少し顔をあげて少女の笑顔を見ると、想真は小さいころの家族みんなの笑顔を思い出した。 「…うん、歌おう!」  そう少女に返す想真は、笑顔になっていた。
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