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僕は産まれる
分娩室の中には出産というだけなのに十人以上の先生達がひしめき合っていた。
僕は子宮の中でママと言う胎盤に包まれながら死んでいた。
死産を迎えた僕は天井の隅からその慌ただしさを見ている。
魂は自由だが、もうママの体へ戻ることは出来ない。僕の体はもう死んでいる。
僕は初めて産道を通る。命は無いから痛くはない。その代わりに皮膚が削げ落ち形が無くなる可能性がある。最悪の場合、肉の塊にしかならないときもある。
僕は綺麗な形のままで、ママに会いたかった。
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