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一泊二日の看病
三時間ほど経つと彼女は眼を開いた。一瞬どこにいるのかと眼だけが動いた。横に座っている新を見て先ほどの事を思い出したようだ。
「私どうしたんでしょう?」彼女は上半身を起こした。
「ここへお祖父ちゃんを探しにきたようでしたが、倒れてしまったのでここに寝てもらいました」
「なんとなく思い出しました、ごめんなさい迷惑をかけてしまって」
「もうバスもないし、まだ動くのは無理だと思います、とりあえずかぜ薬を飲んでもう少し寝ていてください」
「本当にいいんですか?」彼女は力なく答えた。
「症状はどんな感じですか?」
「頭が痛くて寒気がします」
「分かりました、少し横になって待っていてください」キッチンへ行くと瑠美にすすめられて買ったお粥のパックをレンジで温めた。
症状に合いそうなかぜ薬と水をお粥と一緒に持ってきた。
「お粥を食べて薬を飲んでください、今は何も考えないでカゼを治すことだけ考えましょう」少し微笑んで彼女を見た。
「ありがとうございます」軽く会釈をして指示に従った。
お粥を少し食べると「美味しいです」そう言って頭をペコリと下げた。
なんとか食べ終わると、水でかぜ薬を飲んだ。
「僕は隣のリビングにいるので何かあったら声をかけてください、そう伝えると和室の障子を閉めた。
新はリビングの端にある3畳の畳の上に寝袋を出して広げそのまま上に横になった。
「ピロリーン」とスマホが呼んだ。
『大丈夫?元気?』心結から言葉が届いた。
『今夜は風邪気味なので寝ます』
それだけ返信して新は寝袋に入り込んだ。和室からはスースーと寝息がかすかに聞こえた。
新はまどろみと、めい想をくり返すようにして一夜を過ごした。
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