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お目覚めのまずい朝食
翌朝、和室の障子が開いて気が付いた。彼女は昨日とちがって顔色もよくなり、恥ずかしそうに出てくると新を見ながらおじぎをした。
「昨日はご迷惑をおかけしました、本当にありがとうございました。」
「少しは元気になったみたいだね、よかった」寝袋から起き出してリビングのテーブルへ移動した。
「今コーヒー、いやお茶を入れますね」新はキッチンへ向かった。
彼女は洗面所の場所を聞くと小さなバッグを持って階段を下りて行った。
新は不思議な気分になった。同じ部屋に若い女性がいるのは初めての経験なのだ、お茶を運ぶ手が少し震えた。
お茶をテーブルに置き彼女にすすめると嬉しそうに向き合って座った。
新は少しお茶を飲むと姿勢を正した。「橋口新です」と自己紹介した。
彼女は我に返ったような顔をして「神崎綾乃です」そう言うと少し微笑んだ。
その様子がなんかおかしくて新がクスクスと笑うと、綾乃もつられて笑い出した。
「突然知らない人が訪ねてきて、しかも風邪で倒れるとかビックリしたでしょう?」
「はい、どうなることかと思いました」
「そんな状況なのに親切にしていただいてとっても感謝しています」
「当然のことをしただけです、困った人を目の前にして、もし自分が何か出来るのであればするべきだと思います」
その言葉を聞くと綾乃は不思議そうな顔をしてゆっくりうなずいた。
「新さんってとっても優しい人なんですね」
新は恥ずかしくなって「あの・・・朝ごはんを用意します」あわててキッチンへにげ出した。
しばらくするとハムエッグとパックのごはん、インスタントの味噌汁をもってリビングのテーブルへ戻ってきた。
「すみません、引っ越したばっかりでこんなものしかできません」言い訳しながらテーブルに並べた。
「ありがとうございます、十分です」綾乃は嬉しそうに笑みをうかべた。
とても美味しいとは言えない朝食だったが、二人はなんとかお腹を満たした。食後にかぜ薬をさし出すと自分はコーヒーを飲んだ。
少しだけ打ち解けた気がした新は、疑問に思ったことを聞いてみた。
「あのう、神崎さんって言いましたよね、お祖父ちゃんは相原さんだから母方のお祖父ちゃんですか?」
綾乃は大きめに瞬きすると、思いきったように話し出した。
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