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未来はいつもミステリー
二人の奇妙な同棲生活が始まった。午後からはパソコンのデータ入力のやり方を教えると綾乃はすぐにできるようになった。
後は淡々と進めるだけだ。夕方になり食事のことを考えていると綾乃が声をかけてきた。
「あのう、私夕食を作りましょうか?」
「本当!それはすごくありがたいです」新は何度もコクコクとうなずいた。
綾乃をキッチンへ案内すると、一通り説明した。
「まだ来たばかりなので、食品のストックもあまりなくてここにあるだけです」
「そうですか」しばらく考えて「大丈夫です」そういって食事の支度にとりかかった。
新は残りの仕事をかたづけた。しばらくするとキッチンからいい匂いがしてきた。
「できました」綾乃は料理をリビングのテーブルへと運んできた。
「野菜がキャベツしかなかったので、チョレギサラダ風にしてみました。卵があったのでオムレツを作りました。あとはお味噌汁ですが、インスタントをアレンジしました」
テーブルに並んだ料理はシンプルだが、自炊などほとんどできない新には豪華に見えた。
「おー、すごい、おいしそうだ」目を輝かせる新に綾乃は微笑んだ。
「いただきまーす!」新はサラダを口へはこんだ。そして大きく目を見開いて驚いた。
「おいしい、キャベツってこんなにおいしかったっけ? お店で食べるような味だ!」
「そうですか?塩とごま油だけですけど」綾乃は不思議そうな顔をした。
新はオムレツを一口食べた、ふんわりとした卵の香りが広がり、食欲を大きく引き出した。
「すごい、なんでこんな味付けができるんですか?」新が真剣な顔で綾乃を見ると。
「そんな大げさな」ケラケラと笑った。
次に味噌汁を飲んだ、さすがにインスタントはどうにもならないだろうと思ったが、自分で作ったときとは全く違って上品になっていた。
「インスタントだよね・・・・」一度箸をおいて考え込んだ。
「料理ってすごい!綾乃さんって料理の学校とか行ってたんですか?」
「いいえ、母が料理好きで小さいころからいっぱい教えてもらいました」
「やっぱり料理にも才能があるんですね」
新はもう一度箸をとるとすごい勢いで食べた。パックのご飯だったが、おかずがおいしいとご飯までおいし感じる。
綾乃はそれを見てにこにこしながら一緒に食べている。
新はあっという間に完食した。「ごちそうさまでした」両手を合わせてていねいにおじぎした。
「よかった、少しは役に立ったみたいで」遅れて綾乃もごちそうさまと手を合わせた。
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