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つめたい関係
「おっ、有名なかき氷屋さんだ!」
今度は先輩がかき氷屋の看板に気が付いたようだ。
「イラついたからさ、お前のおごりでかき氷食っていこうぜ」
「いいですよ、もちろんおごります」
「よっしゃ!」先輩は子供のような顔をして喜んだ。
「そこの左側に駐車場があるみたいですよ」
ワゴン車を駐車場に止めておりてきた二人は、店の前へならぶ行列におどろいた。
「えー、夏も終わって久しいというのにまだこんな行列なんだ」
「びっくりですね」
「実は2年位前だったかな?お盆休みに彼女と来たときも行列が長すぎて食べるのをあきらめたんだ」
「瑠美さんと来たんですか?」
「いや、瑠美の友だち」
「えっ、瑠美さんの友人が元カノだったんですか?」
「ああ、とってもノリのいい子でね、でもお互いにノリがいいと熱くなるのも早いが覚めるのも早いってわけさ、ハハハ・・」
「よくそのあと瑠美さんがつき合うことを了承しましたね?」
「あいつはしっかり本質を見るやつだからな」
「本質ですか・・・」
「瑠美が言ってたけど、俺とお前の性格は足して2で割ると丁度いいらしいぞ」
「なるほど、それは正解かもしれないですね」
確かに新と仁は陰と陽もしくは静と動、明らかに対照的だ。瑠美は本質を見抜いているのかもしれないと新は思った。
やっと順番が来た二人は、思い思いに注文すると運ばれてきたかき氷をカサコソとスプーンで削りながら食べた。
しばらくすると「都落ちか・・・・」新がボソッともらした。
「なんだよ、もしかしてお前、根に持ってんのか?」
「そんなことはないですよ」
「俺はお前に東京に留まってほしくて都落ちなんて言ったんだがな」
「分かってますよ、だた初めての場所にきて少し不安になっただけなんです」
「だろうな・・・今からでも東京に戻るか?」
「大丈夫です、どうせすぐに慣れるしネットでもすぐに繋がりますから」
「そうだな、そんな時代だもんな」
「そういえばここは天然氷で有名なんですけど、天然氷のかき氷は頭にキーンとこないらしいですよ」
「なるほど、別にキーンとはなってないな」
「ゆっくり食べたからですかね?」
「さあ・・・でも美味しかったなあ」仁は溶けて残った色のついた液体を一挙に飲み干した。
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