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事件は突然に2
翌日新は天気が良かったので、家の周りを掃除していた。一台の黒い外車が坂道を下りてきた。
中からサングラスをした怖そうな男が下りてきた。
新は昨日のお金の箱を思い出して、何か事件に巻き込まれるのではないかと不安になった。
男は真っすぐに新の方へ向かってきた。
「兄ちゃん、ここに住んでる爺さんは知らねえかい」と聞いてきた。
「もう亡くなられて、この別荘が売りに出たので自分が購入して住んでるんですが」そう答えると
「そうかい、爺さん死んじまったかい、じゃあしょうがねえな」そう言うと車へ戻っていった。
新はほっとした、しかし彼はまた戻って来た。目の前へ来ると乱暴にタバコの火を投げ捨て足で踏み消した。
「もし若い女が訪ねて来たら俺に電話しな」そう言って携帯電話の電話番号を強引に渡すと帰って行った。
「うーん・・なんだこれ、いやな予感がする」独り言がふえていく。
その夜は日本髪に和服を着た極道の妻風の女性が訪ねてくる夢を見てうなされた。しかし、その後何事も起こらなかったので少しほっとした。
やっと光ケーブルの工事が済み、別荘がネットにつながった。早速先輩にメールを打った。返事が来てリモートがつながった。
「おーっ見えた見えた、思ったより顔色がいいじゃないか」
「これからいつでも会話できるのでよろしくお願いします」
「了解、早速で悪いんだけどさ、仕事頼んでもいいか?」
「いいですよ、いつまでも遊んでいられないんで」
「OK!早速資料をメールで送るよ」
「分かりました」
新は回線がつながり、仕事が始められることに喜んだ。「よかった、日常が帰ってくる」胸をそっとなでおろした。
仕事用のデスクもととのい、届いた資料を基に仕事を始めた。パチパチとキーボードの音が別荘の中に響き、室内が色を取り戻したような気がした。これほど仕事が楽しいと思ったことはこれまで無かったかもしれないとも思った。
『元気になったみたいね』心結もうれしそうだ。
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