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彼女
約束通り金曜日、弟と酒を酌み交わしていた。
お互いの近況を、伝え合い仕事の話しやバイクの話し、そして彼女の連絡先を聞ける雰囲気になったところで尋ねてみた。
「姉ちゃん元気か?同窓会しようかと話しが上がってるだけど、連絡先教えてもらえないか?」
さりげなく聞いたふりをしたが俺はドキドキと心臓が破裂しそうだった。年甲斐もなく。だから気づかなかったのだ、弟の顔色が一瞬曇ったことを。
「姉とは縁切ってるから連絡先知らないんですよ。」
「はっ?本当に知らないのか?」
「えぇ、知らないですよ。」
「本当にか?」
「先輩こそどうしたんですか?急に姉の連絡先を聞いてきて?」
こんな押し問答を何回か繰り返していくうちに、弟が住所ならと教えてくれた。
「先輩今更どうしたんですか?何かあったんですか?」
心配そうに尋ねてくる彼女の弟に、しょうがないから夢の話しをしたのだ。俺は約束を守りたいと言うことも。嘘をついた事がばれてしまったがね。
明日住所のところに行ってみると伝えると、弟は少し曇った顔をしていた。
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