再会

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再会

 昨日までの悶々とした日々からの解放からなのか、雲一つない晴天のせいなのか、気持ちが高揚していた。  彼女が俺を拒絶するはずはないと思っていたから。 他の人から見たらただの馬鹿にしかみえないだろうけど、彼女が約束を破ることはないと信じていたから。  車で20分くらいの場所だった。でも、そこには家が建ってるわけじゃなかった。 見晴らしの良い丘の上。彼女はそこに居た。冷たい土の下に。  彼女から連絡が途絶えた翌年に眠りについていた。 彼女からの誕生日メールが来るのを当然だと思っていた。それが数年前突然来なくなったが、あえてこちらから返信はしていなかったんだ。もし、あの時返信していたら違ったのかもしれない。  どれだけそこに立ち尽くしていたのだろうか?隣りに人の気配がして横をみると、彼女の弟が立っていた。  「姉から絶対に教えないで欲しいと頼まれました。一緒にした約束を守れないのは、別の道を歩いてしまった罰だと。」 「それでも教えてほしかった。逢いたかったんだ。いつでも逢えるから、俺と違う道を選んだからわざと意地を張っていただけだったんだ。違う道を選んでも笑顔でいてくれれば、それだけで良かったんだよ。」  素直に返信していれば、最期に逢えたかもしれない。今になって夢の中に出てきたのは、約束の時だからだったのか?  忘れていた約束を思い出して欲しかったのかもしれない。いつのまにか弟は帰っていた。彼女からの手紙を俺に渡して。  『この手紙を読むってことはもう私はいない時だよね。約束覚えていてくれた?行き先も覚えていてくれた?中途半端な年数だから忘れていたかもしれないね。約束守れなくてごめんなさい。2人で初めて行った場所に行きたかったんだ。近すぎて貴方は笑ったけどね。あの時とは違ってエスももういないけど、やはり近くてもそこが良かったの。一緒には行けないけど、貴方の家とそこが見える高台を選んだの。約束忘れててくれれば、この手紙を読むことはないと思う。でも、我が儘な私は約束を覚えていてくれる事を信じてるの。だから、手紙を残しました。貴方に逢えて幸せでした。同じ道を歩けなかったけど、いつも貴方のことを想っていたよ。この手紙を書く時彼女がいる事を知ったから、連絡しないようにお願いしたの。どうかこの手紙を読まないで幸せに生きていて欲しいとも思ってる。今貴方は幸せですか?』  お前は幸せだったのかよ!  そう言えばよく言ってたよなぁ。ひとつの魂がふたつにわかれて産まれてしまったのが私たちだと。だから、俺の事はそばにいなくてもよくわかるって。  だから、タイミング良くメールが届いてたのか?たった一文のメールだったけどな!『元気?』それだけ。そのメールももう届かないよ。  夕陽が落ちていくのを見ながら、彼女のそばに居た。ふわーと、一陣の風が耳元をくすぐった。まるで彼女の悪戯な笑い声のようだった。  明日彼女との約束の場所に行こうと思う。
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