夏の日

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「実花ちゃんの下の口はアイス大好きなんだねえ。ほら、涎が垂れてきた。もっと奥まで食べさせてあげるね」 冷たさがおなかの奥に当たった。 聞いたことのない甲高い声が出て自分でびっくりする。口を押させて止めようとするけどおじさんがアイスを動かすたびに声が出てしまう。 冷たい。冷たい。冷たい。 体が痺れる。自分の体が自分のものじゃないみたいに全身が勝手にびくびくと震える。 何これ何これ何? 私の体、どうしちゃったんだろう。 やっとおじさんがアイスを私の中から引き抜いた。一回り小さくなったアイスをまた口に押し当てられる。 「このくらい小さくなったら食べられるでしょ? ほら、あーんして」 抗う力もなく口を開ける。私の体液にまみれたアイスが口の中を犯していく。 「いいねその顔。そのままちゃんと咥えてるんだよ」 おじさんは荒い呼吸をしながら自分の服を脱いで私に覆いかぶさってきた。 固くなったおじさんの一部がさっきまでアイスが入っていた私の中に侵入してくる。いつもよりずっと熱いおじさんの一部が私の奥を突く。 その熱さと刺激にまた甲高い声が漏れた。 アイスが溶けて喉の奥に流れてくる。それを押し戻すかのように出る卑猥な声は自分の声じゃないみたいだ。 これは昔押し入れの中で聞いていたお母さんのあの声と同じだと、イチゴの味を喉の奥で感じながら思い出していた。お母さんはいつもこんな感覚になっていたんだ。痛くなくて気持ち良くてでも苦い、こんな風に感じていたんだ。 おじさんが体を震わせ私の上に覆いかぶさる頃にはアイスはすっかり溶けて私の口の中や口の周りはイチゴ味の液体まみれになっていた。 おじさんが顔を上げてそのイチゴ味の液体を舐めるように私の口の中に舌を入れてきた。おじさんの舌もイチゴの味がした。 「実花ちゃん、初めて感じてくれたね。気持ち良かった?」 おじさんの目を見ながら頷くとおじさんは満足そうに口の端を上げて「ありがとう」と言った。それから私の顔を両手で包み込む。 「実花ちゃん、俺と一緒に逃げよう」 逃げる? 何から? 意味がわからなくて私は困ってしまい救いを求めるようにおじさんの顔を見つめた。おじさんはちょっと眉を下げるとゆっくりと話し始めた。 「実花ちゃんはお母さんに利用されてる。実花ちゃんの体を売ってお母さんはお金をもらってるんだ。俺もお金で実花ちゃんの体を買っていた。だけど今は実花ちゃんのことが本気で好きだ。だから実花ちゃんに売春させて金儲けしてるお母さんのところに実花ちゃんを置いていたくないんだよ」 おじさんが私を好き? 本当に? だから私とお母さんを離れ離れにしたいの? お母さんが私を利用してお金をもらっているから? それはお母さんが私を必要としてくれているってことだよね。 お母さんに必要とされることは嬉しいことだ。それの何がいけないんだろう。私はお母さんに必要とされたい。お母さんに褒めて欲しい。お母さんに笑って欲しい。おじさんに「好き」と言われるよりお母さんに「ありがとう」と言われたい。
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