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白いカーテンが揺れる。お見舞いに来た親戚が持ってきた果物かごがどっしりとある。扉がガラガラというと、突然ミハルが現れた。夏にぴったりな白いブラウスを着ていた。ミハルもお見舞いに菓子折りを携えていた。 「具合いは大丈夫?」 「いろいろ心配かけて申し訳ありません。」 「いいよ。いいよ。そんなことは。それよりも  せっかく働き始めたばっかりなのに、こんなことになってしまって。きついね。」 「そうなんですよ。社長からも期待されて入社したんですが、もうこんなケガしたから居ずらくなってしまって。」 「できることから始めたらいいじゃない。でも、今はゆっくり休んで。」 ミハルは、そう言うと帰っていった。 一週間くらい入院して退院して、しばらく自宅療養となった。会社も辞めてしまったので、またニートに戻った。 空白の時間があると、徹底的に落ち込んだ。iPad があったので、それでゲームをして遊んだ。ドラゴンクエスト3だ。寝っ転がて、ベットにiPad を載せていた。左手の指が欠けて不自由になったので、コントローラーで、操作するタイプだと厳しいが。左手を使わないので、ラクに操作して楽しむことができる。ゲームをやっていても一日の時間は余る。その余った時間に落ち込むことのような余計なことを考えてしまう。それを紛らわすために、誰かに電話してみる。 運良く営業の仕事を最近辞めて、パチプロを目指している友人が見つかった。足立である。いきさつを話すと、「お前ばかだなぁ、不器用だなぁ」と言った。
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