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実家に戻った。両親は俺に関心がないように思われる。俺が指をけがしたとき、ひたすらドラゴンクエスト3しかしない姿にあきれたように思われる。それからである関心がなくなったのは。 昼間、無音でいると、気が滅入るので、何気なくテレビをつけた。お笑い芸人が漫才をやっている。明るい雰囲気に何がめでたいんだと、一人で毒づく。しばらくスマホをいじり、テレビを見るのをやめた。が、テレビはそのままつけっぱなしであった。しばらく経つと、ブルーな音楽が聞こえてきた。ステージに立つ芸人は視線を下に向け「ヒロシですっ!!」と言った。「ホームレスから昔のオレに似てるといわれたとです」としゃべった。この芸人のネタから頭の中で何かひらめく。ホームレス。イコール野生と頭の中で変換されて横井庄一さんのことを思い出した。引き出しからミハルと共に作成した資料集を取り出してきた。パラパラとめくる。気になったので、さっきの芸人についても調べてみる。ヒロシだとわかり、ひとりキャンプもやっていることがわかった。横井庄一さんは、ジャングルで生活していた。そのことに想いを馳せると、キャンプにも興味が出てきた。今度はミハルをキャンプに誘うことを目標にする。そのためには、ミハルに認めてもらうためにまた、就職することを決意する。旭日の会で調理関係をやっていたので、今度は給食センターなどを視野に入れる。今度こそ失敗せず、順風満帆に過ごすぞと決意した。(完)
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