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会社から連絡があり。採用が決まった。働く日の当日、金のない俺は卵焼きとウィンナーだけの汚い弁当を作って持っていくことにした。 会社に着いた。通勤手段は、自転車だ。事務の女性の人から真新しい制服を渡された。新しい仕事が始まる・・・。 (だが、俺は不器用だった。そのことは面接の ときは隠した。中学生のとき、モノづくりには興味があった。ガンダムのプラモデルはなんとか組み立てることができたが。接着剤を使うヤツは惨敗だった。) 少し暗がりの構内。娑婆とは採光の具合が違う。 大きな機械が空間を占拠。緑の床。気持ちは新鮮さと不安が入り混じる。ギー、ガチャン。ギー、ガチャン。金属板をプレスする音が響く。 しばらくボケーとつったていた。突然、長身の男性が現れた。どうやら、俺に仕事を教えてあげるらしい。 「はーい。こんにちは斉藤です。金型プレスの責任者をしています。」        「どうも・・・。」 年齢は30代くらいに思われる。指輪がちらりと見える。結婚しているのだろう。奥さんは美人なのだろうかと詮索する。 「わたしが見本を見せますから」と俺の前方に立った。機械が割に早いペースで動き出した。 ギー、ガチャン。金属が圧着されて、瞬間的に何かの部品になる。機械の操作自体は金属の板をセットするだけなので平易なように思われる。 「実際に、やってみようか?」斉藤さんの掛け声で、俺はプレス加工機と向き合う。機械がボタン一つで作動すると、その動きに最初はビビった。が、しばらくすると作業自体に慣れ。スムーズに作業が進み始める二時間近くやった後昼休憩になる。粗末な休憩室に入り、休憩となった。斉藤さんの近くの席に座った。あえて職場の人とコミュニケーションを図ろうとした。
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