豹変した社員Aの話

2/10
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
深夜帯のメンバーは少人数で、和気あいあいとしておりまして、皆いい人ばかりで、普通に皆仲良く仕事させていただいてて、昼よりも管理者の目がないせいか、みんな結構適当にやっていまして(笑) 元々ナイトマネージャーさん(男性)とも、昼の時間帯でも関わることがあって、打ち解けるのには時間はかかりませんでした。 そんな中で、部署の違う社員のAさんという男性の方と知り合いました。  深夜帯では、人がいない分、結構オールマイティーに動くことを求められていたので、そのAさんからも仕事を教わることがよくあって、そこで喋るようになりました。  普通に優しい方で、色々と気にかけてくれるような普通の好青年って、感じの人でした。  仕事中、色々と教えてくださったりもしましたし、商品がどこにあるかとか分からないでずっと探してた私のところに「どうしたのー?あ、商品さがしてるの?一緒に探そっか!」と来てくださって、自分の仕事もあるだろうにわざわざ一緒に探してくださったりとか。 色々とエピソードはあるんですが本当に、優しい方だったんです。  お話してても面白い人で、皆冗談まじりでふざけた話とかもしてましたので、私も、昔ほど警戒は緩くなってたので、冗談を言い合うぐらいの感じにはなってました。  歳は向こうの方が上であくまでも先輩なので、ちゃんと線引きはしていた…と思う。 あんまり恋愛的なことは考えていなかったけれど、彼氏にするんだったら、こんな人がいいなぁって何となくは思ってたんですね。 ある時、私、魚を人前で食べるのが苦手だって話をしたときに、「なんで?」って聞かれて。 以前の職場で、お魚の入ったお弁当を食べてるときに、ある子から、箸の使い方が下手だと、食べてるときに練習させられた上、ちょっと差別的発言もされたので、それ以来焼き魚を人前で食べるのが、苦手なんです。箸も使い方がなってないので(練習して少しは改善したと思う……) そう言ったとき、Aさんは、「そんなの誰も気にしないよ、食べてるときにそんなことやって来るやつが失礼なんだよ」と、言ってくださったのが、グッと来たのかもしれない(笑) 他にも色々とあるんですけど、なんか、そう言って下さったり紳士的な男性って言うのも私にとって初めてだったので、結構興味は向いておりました。 話していて楽しい方でしたし、昔散々な目に遭わしてきた人たちとは違って、なかなかいない温和な方だと、思っていたので。 それに口癖のように、いつも私に言っていたのが、「僕は女性にはこういう事はしない」………的なことを、よく仰ってたんですね。 何かの話の中で、よく色んな所で端々そういう事を言ってたんです。 上記の箸のことがあってからからなのか、「あぁ、この人結構紳士的なところあるんだなー」って考えてたんですよね。ぼんやりと。 だから、人に対してちゃんと思いやりのもった人なのかな~って。ぼんやりと(笑)  その気の緩みがいけなかったのか、仕事仲間としての線を何処かで踏み外してしまったのかなんだったのか。 未だに分かりませんが、あんなことが起ころうとは。 その時の私は、全く想像がついていませんでした。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!