豹変した社員Aの話

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どう考えても分からない。 思い当たることとすれば、パワハラ発言。 でも以前は、注意されることもなく笑ってたし、周りの人達もセクハラとか言うときもあるし。 なにか聞き間違えをしてしまったのか? もうよくわからないが、何か怒らせてしまったことは確かだろう。 とりあえずその時は仕事をして、閉店作業まで行って、完了するまでは喋らないままでした。 でもモヤモヤはやっぱり消えなかったんですね。先輩のBさんにそれとなく、Aさんを怒らせてしまったかもしれないと言ったら、Bさんは思いの外あっさりしていて、 「あぁ、あの人、ちょっと沸点低いんだよね。いいよ、気にしなくていいから」 と返してきました。 え?そうなの?と、内心私はびっくりしました。 あまり気の短そうな人にも見えなかったので。私の何かの言葉に引っかかってそうなったんだろう、やっぱパワハラって言葉だろうか? その時の先輩の「気にしないで」に、気にしないようにすることはなんか出来ませんでした。 今までの態度とはまるで別人だし、かなりムカついてたっていうのが分かったので。それに数分前まで普通に楽しく会話していたので、府に落ちなかったのもあります。 先輩は、気にしなくていい。何日かすれば元に戻るからって言いましたが、帰るときには、なんか、気まずくてもお疲れ様って声かけないのも変だしなぁって、思って。 とりあえず、お疲れ様ですって言って、謝って、帰ろう。と勇気を振り絞って、Aさんのところに、帰り際、行きました。 「お疲れ様です。さっきは、何か失礼なこと言ってしまい、すみませんでした」と。 ほんとは怒ってるような中、話しかけたくもないけれど、黙って帰るのも嫌で声をそうかけて、それですぐに帰ればよかったんです。 すると、パソコンを弄ってたAさんが、こう言うんです。 「もうね、俺は作者不明さんの仕事フォローしないし、もう助けないんで。はっきり言いますけど、もう作者不明さん、嫌いなんで」 と、いきなり言われたんです。 なんか色々と突っ込みどころは、あるんですが、もうとりあえず私が、何をしたのかと。 明確に全くわからないまま、そう言われたので。 急にいきなり、嫌いとかっていうか、今まで、ね、これ教えてくださいっていうのはありましたけど、Aさんから来てくださったことも何度かあったので、「折角親切にしてやったのに」みたいな発言には、すごくびっくりしたんですね。 「いや…嫌いなのは仕方ないので嫌いでいいんですが、さっきのは本気ではないので、でもすみませんでした、軽々しく言っちゃって」と、そんな…言葉を言ったんですね。 その瞬間でした。 バーーーーンッッッ!!!!!!!!!!!!!!! 机が大きくぶっ叩かれて、立ち上がったAさん。 「「嫌いなんだよぉっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!?」」  凄い怒鳴り声をぶつけて、私に凄んで来ました。 この時の事は、何故か冷静に見れていたのでよく覚えてますが、急に豹変した姿に、ただショックというのと、「うわ」と冷静に引いてる自分がいました。 「「潰すぞ!!!!!!!!!!!!!!!ガキがよ!!!!!!!!!!!!!!!」」 しかも、完全に殺すという意味の脅しまで添えて。 言っておきますが、舞台は、職場の事務所です。 急に豹変したAさん。あの今まで好青年だった温和な人物はいったい、どこへ行ったのだろうか。 という冷静な反応と、怒号による脅しに恐怖しか抱かなかった。 でも、私は、ここで泣いたりしたら、負けだ。 そんな意地もあり、  「そんなん言うんだったら、何処がいけなかったのか、教えてください。私いきなりそんなん言われても解りません」 と、冷静に聞き返しても、本人は罵倒を浴びせるだけで、結局原因は答えてくれませんでした。 「うるせえ黙れ!!!!!!!!!!!!!!!潰すっていってんだよ!!!!!!!!!!!!!!!」 「家に帰っておねんねしてろくそが!!!!!!!!!!!!!!!」 「もう顔を見せるな!!!!!!!!!!!!!!!」 「仕事に来るんじゃねぇ!!!!!!!!!!!!!!!」  等と暴言を吐き、社員であるAさんから、クビ宣告を頂いた所で、私は先輩のBさんが待つエレベーターへ向かいました。 エレベーターの扉が閉まるまで、「二度と来るんじゃねぇぞ!!!!!!!!!!!!!!!」という罵倒の言葉も頂きながら。
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