豹変した社員Aの話

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その後、先輩から「ストレスがたまって精神的に不安定なのか、あんなことがたまにあるんだ」と言うのを聞きました。 いや、もっと早く言えって思いましたけどそれ。 とか思いつつ、なんか、そのまま別れて帰宅しました。  その場では冷静だったんですが、帰ってからは、全く眠れなくなってしまって、徐々にダメージが襲ってきたんですね。 私は男性が元々苦手だって言いましたが、中でも怒鳴る人が、一番嫌いなんです。  感受性に多様って言うべきか、敏感な体質なので、痛みとかそういうものを過剰に受け取りやすい。  なので、怒鳴られたりすると、昔から数日はずっと嫌な気分が抜けなくて、体調を悪くすることがありました。 そして周りの男性が、運悪く、すぐ怒鳴るような人ばかりだったので、余計にですね。 久しぶりに受けたせいか、日々のストレスが積み重なってたせいか。 夜勤明けで、また今日も仕事があるのに全然眠れなくなってしまって。 とにかく、自分一人で家にいるのが怖くなってしまいまして、壁が迫ってくるような錯覚だとか、あんなことを言われるともう行きたくなくなってしまう。 どんな顔で、会えと言うのか。いきなり原因も全く分からず、罵倒を受けてわけが分からないし。  今日のシフトでは、Aさんはいないし、ナイトマネージャーさんがいるからとりあえず行こう………と思って出勤時間ギリギリになっても……………動けなくなり。 元々客層も悪いところがあったお店で色々とトラブルも、よく起こってたストレス。コロナウイルスもあって転職がままならず、あまりうまく行っていなかった。 そして自分にとってこの三年間、最悪な三年間であったという蓄積もあったと思います。 もう嫌だ…………。 どうしてこう、うまくいかないんだろう。 もう嫌だ…………。 そんな考えがぐるぐると巡り、押し潰された。 もうこんな人生やめにしよう。という考えが出てきました。 その時はもう、仕事に行く事も嫌になり、本気で死を願いました。 何度かそう思うようなことがあり、突発的に死を求めるような行動は、ぶっちゃけ、何度かしたことがあります。 生きていればそんなときが誰だってあるものだとよく、言われました。 前の職場でも、親が亡くなった直後の時に、理不尽な理由で上司から暴言を吐かれたとき。その時も凄く落ち込みました。 その時は職場の皆さんが陰ながら味方してくださったのですが、同時にこうも言われました。 「あんな人は世の中にいっぱいいるから、いちいち気にしてたら、生きていけないよ!」 その言葉は凄く重みでした。 私の悪いところ、治したくても治せない本質は、致命的にも敏感過ぎることだったから。 世の中が生きづらくて生きづらくて、仕方なかった。気にしなくていいなら、全然気にしていないのに。それが出来なくて困っているのに。 その時、私はなんとなくその言葉に、こう返していました。 「あんな酷い人が世の中にいっぱいいて、それが当たり前だと妥協するしかない世界なら、私はもう、生きていたくありません」 それが巡りめぐって、またやって来ました。
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