王位を継ぐ者として

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季節が移り変わって夏になった。 フローラと一緒にお城の庭園で、花たちに水やりをしているとルイス様とリカルドさんに声を掛けられた。 「部屋に居ないと思ったら、庭園に居たんだな。花たちも水を浴びて喜んでそうだな」 「フローラ、水やりも構わないが。ちゃんとエステリーゼ様にも水分補給もしないといけないぞ」 今日は気温が高く、結構暑い。 ドレスも夏仕様な物だけど汗ばむ様な暑さだった。 リカルドさんはわたしの身体を気遣って、フローラに優しく注意を促しくれていた。 「はい、もちろん。承知しております!」 「ルイス様はこれから公務ですか?」 「いや、違うよ。エステルに話があって探しに来たんだ。執務終わりに部屋に戻ったら、エステルが居ないから何処に行ったのかと思って」 「お話ですか?」 大事な話なのかしら。 探しにまで来てくれたのだから、急ぎのものなのかな。 「あぁ。実は数日前に父上たちが長期旅行から戻って来られると手紙が届いたんだ。それで、予定だとソルフォートに到着するのは今日の午後らしくて。エステルにも2人に会わせたいって考えたんだ」 国王様と王妃様がお城に戻ってくるのね。 わたしもお会いしたいとは思っているけど、緊張する。
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